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確かにいたものが突然溶けてしまうかどうかしたような気味の悪い不思議さに
有島武郎 / 或る女(後編) ページ位置:65% 作品を確認(青空文庫)
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消える
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......思わずふらふらとよろけて、泣きやんで、部屋の中に倒れこみながらあたりを見回した。いるに違いないとひとりめをした自分の妄想もうそうが破れたという気は少しも起こらないで、確かにいたものが突然溶けてしまうかどうかしたような気味の悪い不思議さに襲われた。葉子はすっかり気抜けがして、髪も衣紋えもんも取り乱したまま横ずわりにすわったきりでぼんやりしていた。  あたりは深山のようにしーんとしていた。ただ葉子の目の前......
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