室内の空虚が、ソックリこのまま、地下千尺の処に在る墓穴のような、云い知れぬ静寂に満たされて
夢野久作 / ドグラ・マグラ ページ位置:46% 作品を確認(青空文庫)
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室内(空間)が静か
地下室・地階
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前後の文章を含んだ引用
......林博士は、時計のセコンドと睨み合せつつ、麻酔の効果を検診し初めました。その真黒い博士の姿が、心持ち頭を傾けたまま、石像のように動かなくなりますと、それに連れてこの室内の空虚が、ソックリこのまま、地下千尺の処に在る墓穴のような、云い知れぬ静寂に満たされてまいります。 そのうちに脈を取っていた少女の手を投げ出して、時計をポケットに納めました若林博士は、その少女の身体 をそっと抱え上げて、部屋の隅に横たえてある寝棺......
単語の意味
静寂(せいじゃく)
静寂・・・物音一つなく静まり返っていること。ひっそりとして寂しさのあること。また。そのさま。「寂」は訓読みで「しず(か)」とも読める。
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氷の詰まった部屋のように冷ややかに静まり返る
高橋 三千綱 / 涙 amazon
扉の向こうから子供たちの寝息が聞こえてきそうなくらい、静かだった。
小川洋子 / ダイヴィング・プール「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
茶の間はみじんこが沈むようにぴったりと静まる。
幸田 文 / 流れる amazon
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地下室・地階の表現・描写・類語(室内のようすのカテゴリ)の一覧 ランダム5
(病院の地下室)薄暗い裸電球が鉄管のむきだした天井にポツン、ポツンと点っている。むかしはこの地下室に病院付属の売店や喫茶室があったのだが、今はそうした部屋も 埃 だらけにうち捨てられ、空襲のあった場合の患者退避所に使われている。
遠藤 周作「海と毒薬 (角川文庫)」に収録 amazon
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(修理から戻ってきたラジオ)つまみを回すと雑音の向こうから、野球中継が聞こえてきた。長い旅路の果て、ようやくたどり着いたような頼りなげな音だった
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 amazon
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ある家の庭にはまるで何人もの人間の少年期の名残りを集めてぶちまけたみたいに、ありとあらゆる子供の遊び道具が並んでいた。三輪車や輪なげやプラスチックの剣やゴムボールや亀のかたちをした人形や小さなバットや木製のトラックなんかだ。
村上春樹 / ねじまき鳥と火曜日の女たち「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
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