舌は真っ赤で、まるで心臓の端っこが覗いてるみたい
村田 沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」に収録 ページ位置:21% 作品を確認(amazon)
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舌
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......、赤い舌をだしておそるおそるささくれを舐めた。 私の尖った皮膚が、伊吹の柔らかい舌に刺さった。 それが、自分がつい一週間前舐めた舌だと思うとぞくりとした。伊吹の舌は真っ赤で、まるで心臓の端っこが覗いてるみたいだった。「伊吹は私のおもちゃなんだよね」 伊吹は真っ黒な目を丸くして私を見た。「うんって言わないと、ばらすよっ」「う、うん」 伊吹は慌てて答えた。「伊吹は私のお......
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(鏡で)自分の舌を眺めるのは久しぶりだった。そこには苔のようなものが厚く生えていた。本物の苔と同じようにそれは淡い緑色を帯びていた。彼は明かりの下でその苔を詳しく点検した。気味の悪い代物だ。そしてそれは舌全面にしっかりと固着し、もうどうやっても落とせそうになかった。このままいけば俺はそのうち苔人間になってしまうかもしれない、と牛河は思った。舌から始まって身体中のあちこちの皮膚に緑色の苔が生えてくるのだ。沼地でこそこそ暮らす亀の甲羅みたいに。そんなことを想像しただけで気持ちが暗くなる。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
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