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家じゅうひどくしんとしている。彼女はちょっと耳をそばだてて見た。自分の部屋だけ残して、周囲が消え失せたような静けさだ。
宮本百合子 / 伸子 ページ位置:82% 作品を確認(青空文庫)
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室内(空間)が静か
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前後の文章を含んだ引用
......ないのがよくわかった。伸子は悲しかった。自分が佃でも、憎らしく感じるだろう――これは切ないことであった。  ある宵、伸子は暫く自分の部屋に入っていた。気がつくと、家じゅうひどくしんとしている。彼女はちょっと耳をそばだてて見た。自分の部屋だけ残して、周囲が消え失せたような静けさだ。伸子は、不安に襲われた。体で椅子を押しのけ、立って隣りの唐紙をあけた。スタンドが灯っていた。寝台ベッドの蒲団は、内に横わっている人間の体なりにもり上っている。何の変り......
単語の意味
欹てる・側てる(そばだてる)
欹てる・側てる・・・1.一方の端を高さを上げる。そびえたたせる。
2.目や耳などを、一つの方向に神経を集中させる。
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