山脈は低くなり丘と谷が 錯綜 して来た。 磯波 のようにまくれ返った頂上を並べた低い丘が、海岸方面に連り、道はその裏側を 廻った。
大岡 昇平「野火(新潮文庫)」に収録 ページ位置:53% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
山脈・山の連なり
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
...... 川もいくつか越えねばならなかった。水嵩を増した濁った流れが、飢え疲れた兵士の足をさらって、呆気なく川下に運んで行った。 オルモックの町の灯を左後にした頃から、山脈は低くなり丘と谷が錯綜して来た。磯波のようにまくれ返った頂上を並べた低い丘が、海岸方面に連り、道はその裏側を廻った。丘と脊梁山脈の前山との間は、出水の後の泥のような、平らな原が埋めていた。 丘と原は雨に煙っていた。雲がさがって、丘の頂の木を包み、突然吹く風に、低く遠く吹き散ら......
単語の意味
錯綜(さくそう)
錯綜・・・いくつもの物事が分かりにくく絡まりあっていること。物事の関係が複雑で混乱すること。
ここに意味を表示
山脈・山の連なりの表現・描写・類語(地上・陸地のカテゴリ)の一覧 ランダム5
遠い国境いの山々は、濃い薄い緑を盛り上げ、人肌のような温味を匂わせて、地平の果に、のびのびと横たわっている。
石坂 洋次郎 / 山のかなたに amazon
(オーエンスタンレー山脈)ニューギニアを縦に真っ二つに遮る山脈
百田尚樹「永遠の0」に収録 amazon
三つの山並みが金色、赤褐色、薄い紫色の三つの鮮やかな対抗色を見せてそびえる
レイモンド チャンドラー / 湖中の女 amazon
関東山地の山々が雲をかぶって、髪を振り乱した女のように
大岡 昇平 / 武蔵野夫人 amazon
伊那谷と木曾谷を屏風のように仕切って、蜿々(えんえん)と連なっている木曾山脈
深田 久弥 / 四季の山登り (1963年) amazon
このカテゴリを全部見る
「地上・陸地」カテゴリからランダム5
浅間山が眠れる獅子の静けさに居る。
正木不如丘 / 木賊の秋 amazon
雲の影が斜面の上に落ちると、その部分だけ獣の肌のように、くすんだ滑らかさに変わる
中村 真一郎 / 夜半楽 amazon
ひろびろと果しない平野のそちこちにしたたるような緑のかたまりが、ぽたりぽたりと青絵具でぬりつぶしたカンバスの上に、更に青さを落したように、惜し気もなく豊かな色をかさねているのであった。
森田 たま / もめん随筆〈続〉 amazon
田圃(たんぼ)の真ん中に、まるで蜃気楼のように出現したマンモス団地
後藤 明生 / 挾み撃ち amazon
紙捻(こより)を植えたような桑畑
長塚 節 / 土 amazon
同じカテゴリの表現一覧
地上・陸地 の表現の一覧
風景表現 大カテゴリ