手繰りきれない白い帯のような長い年月

尻尾をくわえた蛇のような長ったらしい告白

それは思い出せぬほど長い時間だった。

この建物の中では時間は奇妙な流れ方をしていた。居間に置かれた旧式の柱時計と同じだ。人々が気紛れにやってきては分銅を巻きあげる。分銅が上っている限り、時はコツコツと音を立てて流れる。しかし人々が去り分銅が下りてしまうと時はそこで止まる。そして静止した時の塊りが床の上に色あせた生活の層を積み上げる。

永遠と思えるほど

わたしは時間の感覚をなくしていた。《…略…》それだけ、その日の午後は長かったのだと思う。《…略…》時間の幕に閉じ込められたような気分だった。

もうずいぶんとバスに揺られていた気がするけれど、時計を見ると十五分と経っていない。

一瞬ずつが、こぼれる水滴みたいに貴重でとてもたくさんのことを語った。 　陽も、水もなにもかもが、今日が一回しかなくて今はいろんなことが出し惜しみなくあふれてる

鹿児島湾の上空を、古ぼけた練習機が飛んでいた。《…略…》極度にのろい速力で、ちょうど空を這っているように見えた。

パッケージに印刷された成分表を見たりしている。