人々が寝入って後、草も木も寝入って後、ひとり目ざめてしんとした夜の寂寞 の中に、万年筆のペン先が紙にきしり込む音だけを聞きながら、私は神がかりのように夢中になって筆を運ばしている事もあった。
有島武郎 / 生まれいずる悩み ページ位置:10% 作品を確認(青空文庫)
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徹夜
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......めた。またこの道に踏み込んだ以上は、できてもできなくても人類の意志と取り組む覚悟をしなければならなかった。私は始終自分の力量に疑いを感じ通しながら原稿紙に臨んだ。人々が寝入って後、草も木も寝入って後、ひとり目ざめてしんとした夜の寂寞 の中に、万年筆のペン先が紙にきしり込む音だけを聞きながら、私は神がかりのように夢中になって筆を運ばしている事もあった。私の周囲には亡霊のような魂がひしめいて、紙の中に生まれ出ようと苦しみあせっているのをはっきりと感じた事もあった。そんな時気がついてみると、私の目は感激の涙に漂っ......
単語の意味
寂寞(せきばく)
軋り(きしり)
寂寞・・・人気がなくて、寂しい感じ。心が満たされず寂しい感じ。寂寥。
軋り・・・堅いものがこすれ合って「ぎしぎし」「みしみし」といった耳障りな音を立てること。きしること。また、その音。
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人々が寝入って後、草も木も寝入って後、ひとり目ざめてしんとした夜の寂寞 の中に、万年筆のペン先が紙にきしり込む音だけを聞きながら、私は神がかりのように夢中になって筆を運ばしている事もあった。
有島武郎 / 生まれいずる悩み
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