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どうせ自分自身は電子か何かになって、箒星 のお先走りでも承 るつもりでいたし
夢野久作 / ドグラ・マグラ ページ位置:92% 作品を確認(青空文庫)
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余命宣告・死の覚悟
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前後の文章を含んだ引用
......に、眼に見えぬ網を張詰めて、グングンと自分の方へ手繰 り寄せつつあるのだ」 「……………」 「……しかし吾輩は元来そんな面倒な闘いにお相手になる必要はなかったのだ。どうせ自分自身は電子か何かになって、箒星 のお先走りでも承 るつもりでいたし、一切の財産は軽少ながら、この真相の発表に対するお礼の印として、書類と一緒に一旦若林に預けて、君の頭が回復した後 に改めて引渡してもらう考えでいたし、又、発表の内......
単語の意味
箒星(ほうきぼし)
箒星・・・彗星(すいせい)の和名。尾の伸びた姿が草ぼうきに似ることから。
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余命宣告・死の覚悟の表現・描写・類語(生と死のカテゴリ)の一覧 ランダム5
(弟の余命は十三カ月と告げられる)「十三カ月……」 その数字をかみくだくのに、少し時間がかかった。今まで十三カ月などという数字について、しみじみと考えたことがなかったからだ。十三カ月で人は何ができるのだろう。赤ん坊なら立って歩くことを覚える。浪人生は大学生になり、恋人同士は夫婦になる。いろいろな尺度でその数字を測ろうとした。けれど、弟にとっての十三カ月がどんなものになるのか想像しようとすると、胸の中で、熟れすぎた果肉がべちゃべちゃと潰れていくように気持ち悪く息苦しくなって、うまく考えをまとめることができなくなった。
小川洋子 / 完璧な病室「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
(これから弟の余命宣告を受ける)「しかし、弟さんは、かなり、こ、……困難な状況にあります。」 こんなん、という言葉が何か特殊な意味を持っているかのように、S医師はそこのところでひどく吃った。 「困難……ですか。」 わたしは、太腿の輪郭を目でなぞりながらつぶやいた。 自分が、どこか特別な場面に投げ出されたような気がした。ロッカールームで、水泳部の彼が濡れた水着をわたしの制服に押しつけてきた時、警察の霊安室で、母親の唇がぐったりと色あせているのを見た時、そんな時に感じたのと同じ種類の気持ちだ。何年かたって思い出す時も、ああ、あの時は特別だったんだ、と感じるような、せつなくて息苦しい場面だ。
小川洋子 / 完璧な病室「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
どうせ自分自身は電子か何かになって、箒星 のお先走りでも承 るつもりでいたし
夢野久作 / ドグラ・マグラ
人は自分の死を自覚したときから、生きる希望と死への折り合いをゆるやかにつけていくだけなんだ。たくさんの些細な後悔や、叶えられなかった夢を思い出しながら。
川村 元気 / 世界から猫が消えたなら amazon
死病を宣告されると、これまで想を練っていた新しい方向がひどく鮮明に浮んできた。事実、その着想を得たときは昂奮して二、三日は夜も眠れなかった。その後もずっとその考えを追ってきたのだけれど今までぼんやりとしていたそれがここで明確になってきた。それも生きる期間を制限されて気持が急に真剣になったものか、神経的な感覚が尖鋭になったものかよく分らなかった
松本 清張 / 与えられた生「松本清張ジャンル別作品集(3) 美術ミステリ (双葉文庫)」に収録 amazon
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「生と死」カテゴリからランダム5
生を呪 うよりも死が願われるような思い
有島武郎 / 或る女
今までは勝手に先に自分で死んだあの子に、嫌われたような裏切られたようなくやしい気持ちが、心のどこかにあった
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
突然、死の割れ目が足もとに見えてきた
松本 清張 / 与えられた生「松本清張ジャンル別作品集(3) 美術ミステリ (双葉文庫)」に収録 amazon
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