(蒸し暑い夜)風がやんで、空一面をおおった薄い雲が、月の輪郭をかすませ、ようよう近寄って来る夏の温 かさが、両岸の土からも、川床 の土からも、もやになって立ちのぼるかと思われる夜
森鴎外 / 高瀬舟 ページ位置:15% 作品を確認(青空文庫)
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夏の夜
暑い・蒸し暑い
無風・風がない
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前後の文章を含んだ引用
......はない。 庄兵衛は不思議に思った。そして舟に乗ってからも、単に役目の表で見張っているばかりでなく、絶えず喜助の挙動に、細かい注意をしていた。 その日は暮れ方から風がやんで、空一面をおおった薄い雲が、月の輪郭をかすませ、ようよう近寄って来る夏の温 かさが、両岸の土からも、川床 の土からも、もやになって立ちのぼるかと思われる夜 であった。下京 の町を離れて、加茂川を横ぎったころからは、あたりがひっそりとして、ただ舳 にさかれる水のささやきを聞くのみである。 夜舟 で寝ることは、罪人にも許され......
単語の意味
月の輪(つきのわ)
土(つち)
月の輪・・・1.月。とくに、満月。月輪(げつりん)。
2.満月の輪郭。また、そのような形のもの。わら製の釜敷(かましき)、袈裟(けさ)につける飾り物、釣り花瓶など。
3.ツキノワグマのノドにある、三日月形の白い毛。
2.満月の輪郭。また、そのような形のもの。わら製の釜敷(かましき)、袈裟(けさ)につける飾り物、釣り花瓶など。
3.ツキノワグマのノドにある、三日月形の白い毛。
土・・・岩石と有機物が混じって細かい粉末状になったもの。有機物は、生物の死骸およびその腐敗物、微生物などから構成されている。砂(有機物が含まれない)とは違い、植物が育ちやすい。
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夏の夜の表現・描写・類語(夏のカテゴリ)の一覧 ランダム5
真っ黒な空には星が見当たらず、残暑の余韻の籠もった蒸し暑い夜気の中に、虫の音が響いている。
翔田 寛「真犯人 (小学館文庫)」に収録 amazon
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暑い・蒸し暑いの表現・描写・類語(気温のカテゴリ)の一覧 ランダム5
銀蠅の飛びまわる四畳の部屋は風も通らず、ジーンと音がするように蒸し熱かった。
織田 作之助 / 夫婦善哉 amazon
暑いので、気が遠くなりそうだ。
林芙美子 / 新版 放浪記
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無風・風がないの表現・描写・類語(風のカテゴリ)の一覧 ランダム5
風なんて本当にひとかけらも吹いてはいなかった
村上春樹 / ローマ帝国の崩壊・一八八一年のインディアン蜂起・ ヒットラーのポーランド侵入・そして強風世界「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
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「気温」カテゴリからランダム5
冷たい外気が、カンフルを注射したように気分をしゃんとさせる
壷井 栄 / 草の実 (1962年) amazon
八寒の世界のように霜と氷と涙ばかり
吉川英治 / 八寒道中
「夏」カテゴリからランダム5
目に映る何もかもが初夏のまぶしさをたたえて、勢いづいていた。人々のむきだしの腕、風に揺れる木々の緑。葉先に光る陽光、空気の 匂い、何もかもがもう止まらない。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
線香花火の玉は、あたし達の過去や未来、期待や不安や失望や夢、すべてを含んで、たっぷり、たっぷりと膨らんでいるんだと思った。火の玉は、なみだのようにふるふる震えてこぼれおちそうに揺れていて、
朝井 リョウ / ひーちゃんは線香花火「もういちど生まれる (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
「風」カテゴリからランダム5
風の死んだ、むっとするほど静かな夕暮
林房雄 / 恐怖の花(双生真珠) amazon
ヒューヒューと風の叫び
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
締め出しを食った犬みたいに鼻を鳴らしている風
ジュール・ルナール / にんじん amazon
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