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何か意見を言おうとしたが、思い直してやめた。その意見は口にされないまま、もとあった場所にひっそりと沈み込んでいった。どこだかわからないが、深くて暗いところだ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 作品を確認(amazon)
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言葉を飲み込む・言いかけてやめる
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能なしやないの、と言いかけたところで思いとどまって黙る。言い合っても無駄だ。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
(言いたいことを言わずに相手の話を聞く)うん。うん。一回ずつ頷くたびに、選択するべきだった正しい言葉たちが、自分から振り落とされていくような気がした。
朝井 リョウ「武道館 (文春文庫)」に収録 amazon
サンショ、やっぱり山じゃ生きていけないんじゃないですか。このあいだ、喫茶店を出たところで、私はそう言いかけた。けれど、なぜか直前で唇の形が崩れ出し、私も今度ナポリタンにしてみます、と全然関係ないことを言って、そのまま別れてしまったのだった。
本谷 有希子 / 異類婚姻譚 amazon
和弥さんは立ったまま両手を腰に当て、上を向いたり、足元を見たり、私に言おうかどうかを迷っているふうに見えます。
湊 かなえ「花の鎖 (文春文庫)」に収録 amazon
咽 元 に出かかった言葉を、三太は何度も 呑み下した。
浅田次郎 / ろくでなしのサンタ「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon
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そのひとは、言葉につまると「つまり……」とか「ええと」とか言いながら、必ずいったん目を閉じるのだが、そうすると白いまぶたをふちどるまつげが突然くっきり見えて、かすかにひそめた 眉 に、おおらかなのと神経質なのが入り混じった彼女の人格のすべてがわかったという独特な感じがする。
吉本 ばなな / らせん「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
彼もこの苦しみのはけ場がないから多少は打ちあけた。
松本 清張 / 与えられた生「松本清張ジャンル別作品集(3) 美術ミステリ (双葉文庫)」に収録 amazon
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