医師が来るまで小一時間病人と二人ぎりで、伸子は名状し難い孤立感を覚えた。この大都会の生活と自分達の生存とはいざとなると何と無関係なことか。周囲の冷然とした感じが伸子の心にこたえた。
宮本百合子 / 伸子 ページ位置:12% 作品を確認(青空文庫)
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孤独・一人ぼっち
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前後の文章を含んだ引用
......ろう」 佐々は伸子の顔を見るまでは気を張っていたらしい。心がゆるむと口を利くのも大儀そうであった。二つ重ねた羽根枕の上にほてった顔をのせ、時々太い息をついた。 医師が来るまで小一時間病人と二人ぎりで、伸子は名状し難い孤立感を覚えた。この大都会の生活と自分達の生存とはいざとなると何と無関係なことか。周囲の冷然とした感じが伸子の心にこたえた。 佐々の病気は、伸子も見当をつけた通り目下流行の悪性感冒の初期という診断であった。沢村は家庭医らしい物馴れた調子で云った。 「しかし決して御心配なさるには及びま......
単語の意味
名状(めいじょう)
名状し難い(めいじょうしがたい)
名状・・・言葉で表現すること。物事うまく言葉で説明すること。
名状し難い・・・言葉でうまく表現できない。言い表すのが難しい。
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離れ小島におしやられたような孤独な思いが胸の中でとぐろを巻いた。
木山 捷平 / 大陸の細道 amazon
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ちょうど朽ち腐れた土台の木に地面の 湿気 が自然に浸み込んで行くように、変な淋しさが今ジメジメと彼の心へ浸み込んで来るのをどうする事も出来なかった。
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
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何だか淋しく、血のようなものが胸に込み上げて来た。
林芙美子 / 新版 放浪記
糸のように細く引いた、しかも無理に長さをたぐりのばせるようなかすかな淋しさが、胸の辺りから流れ上る
野間 宏 / 崩解感覚「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
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