飛行機を降り立って以来、君は周囲にあふれる言葉がどれもこれも不思議な風合いを帯びているのに気づいていたが、そのグループの声にはどうしても素通りできない誘惑を感じた。森に潜む小動物たちの鳴き声のように、一つ一つバラバラのようでありながら、彼らだけに通じる規則で互いに溶け合い寄り添い合って、暗号めいた調和を生み出していた。君が慣れ親しんでいる言葉とは明らかに異なる抑揚と勢いを持ち、予測できないリズムを刻んだ。

知らない外国語だがなじるような口調

グレイトホワイト、キックス、メガデス、シンリジィ、テスラ、アイアンメイデン、ライオット、ＡＣ／ＤＣ、モトリークルー……私にとってはほとんど 呪文 のようなこれらが

意味不明な音声を発する

丸で狸が物を言うようで、分かりゃあしない。むにゃむにゃのむにゃむにゃさんなのとはなんだい。

悪魔のようなうめき声

喊声（かんせい）は潮をつくって@略@電気磁力のような速度で、工場を繞（めぐ）り、颶風（ぐふう）のような振幅で浪打った！

興奮していた。回路が切れたように喚きつづける。

頭脳に針を刺すように響いた。

天井を打ち貫（ぬ）くような鋭い笑声をあげた。

獲物めがけて飛ぶ矢のように声が放たれる

大きな体を揺さぶり、薄赤い喉の奥を覗かせて、天井を突き抜けそうに腹いっぱいに声を上げて笑う

「おうおう泣いて。――飢（ひも）じゅうなったか」

話し疲れた二人は暫（しばら）く黙っていた。

長い時間をかけて、氷を溶かすようにゆっくりと、ひとつひとつ（告白する）