下手な作り話のような偶然の連続

僥倖だ。干からびた田に、気紛れで降り注ぐ雨と同じではないか。

神も哀れと思ったか、ついに憐愍（れんびん）を垂れてくれた。

サッカーで言えば、密集したゴール前にどういうわけかぽっかりとスペースが空き、そこに飛び込んできた気紛れなストライカーが点を決める、そんな具合に、織田一真は交際をはじめていた。あんなに必死に警戒していたのに、とディフェンス陣は、僕も含めて唖然とした。

煎り豆に花が咲くようなことがそう度々あるはずがない

天上から地獄へ投げ落とされた堕天使のように堕落する

日毎に老いの傾斜を転げ落ちる

天馬空を行くがごとき生き方

人生は舞台、あなたは主役

才能らしきものの見当らぬ私にとって、現在かくある小説家という職業そのものが奇蹟であった。いわば大空への 飛翔 を夢見た少年が、がむしゃらに徒手空拳を振り回すうちに、鳥になったようなものである。