キャンバスは、なぜだかいつもよりも真っ白に見える。これからなんでも描けそうな、まるで奥行さえあるような、これからどこにでも行けるという期待と不安に満ちた白は、ものを創る人間の心をぐわぐわと煽ってくれる。
朝井 リョウ / 僕は魔法が使えない「もういちど生まれる (幻冬舎文庫)」に収録 ページ位置:90% 作品を確認(amazon)
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白色(白い)
キャンバス
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......いみたいだなんて思ったんだろう。 魔法使いに見える魔法使いなんて、本当はこの世にいない。☆ 休日だというのに、アトリエはたくさんの学生であふれている。ここで見るキャンバスは、なぜだかいつもよりも真っ白に見える。これからなんでも描けそうな、まるで奥行さえあるような、これからどこにでも行けるという期待と不安に満ちた白は、ものを創る人間の心をぐわぐわと煽ってくれる。 ナツ先輩の画が破られたことはみんな知っているようで、アトリエは時々その話で騒がしくなった。「ナツ先輩かわいそう」とひそひそ話す女子もいれば、「馬鹿だよなーやっ......
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