人為的生活が、雪という天然の威力に押えつけられ、逼塞 した隙間 から、ふだんは聞取れない人間の哀切な囁 きがかすかに漏れる
岡本かの子 / 河明り ページ位置:34% 作品を確認(青空文庫)
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雪
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前後の文章を含んだ引用
......が、今日はそういう河容とは、まるで違ったものに見える。 そして、私が心を奪われたのは、いよいよ、そういう現象的の部分部分ではなかった。ふだんの繁劇な都会の濠川 の人為的生活が、雪という天然の威力に押えつけられ、逼塞 した隙間 から、ふだんは聞取れない人間の哀切な囁 きがかすかに漏れるのを感ずるからであった。そして、これは都会の人間から永劫 に直接具体的には聞き得ず、こういう偶々 の場合、こういう自然現象の際に於て、都会に住む人間の底に潜んだ嘆き......
単語の意味
哀切(あいせつ)
哀切・・・哀れで切ないこと。かわいそうでなんとなく悲しいこと。
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雪の表現・描写・類語(雪・霜・あられのカテゴリ)の一覧 ランダム5
小降りになったり 烈しく吹きつのったりしながら、雪はいっこうにやむ気配を見せなかった。道行く人はみな 外套 を白く染め、身を 屈めて急いでいた。
宮本 輝 / 螢川「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 amazon
山の陰に消残つて、雪の色も仄 に青く煙つてゐる。
芥川龍之介 / 芋粥
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「雪・霜・あられ」カテゴリからランダム5
滲み出るように雪の粉が次から次へと下界へ急いでいた。
福永 武彦 / 草の花 amazon
凝固するような霜の夜が蒼ざめてくる
本庄 陸男 / 石狩川 amazon
繭(まゆ)の中の蚕のように人を包む雪
辻井 喬 / 暗夜遍歴 amazon
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