一夏中かけて、僕と鼠はまるで何かに取り憑かれたように25メートル・プール一杯分ばかりのビールを飲み干し、「ジェイズ・バー」の床いっぱいに5センチの厚さにピーナツの殻をまきちらした。そしてそれは、そうでもしなければ生き残れないくらい退屈な夏であった。
村上春樹「風の歌を聴け (講談社文庫)」に収録 ページ位置:6% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
大食い・大食漢
退屈・うんざり・味気ない
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......っくり返しながら何度も丹念に眺めた。僕はあきらめて天井を見上げた。10本の指を順番どおりにきちんと点検してしまわないうちは次の話は始まらない。いつものことだ。 一夏中かけて、僕と鼠はまるで何かに取り憑かれたように25メートル・プール一杯分ばかりのビールを飲み干し、「ジェイズ・バー」の床いっぱいに5センチの厚さにピーナツの殻をまきちらした。そしてそれは、そうでもしなければ生き残れないくらい退屈な夏であった。「ジェイズ・バー」のカウンターには煙草の脂で変色した一枚の版画がかかっていて、どうしようもなく退屈した時など僕は何時間も飽きもせずにその絵を眺めつづけた。まるで......
単語の意味
夏中(なつなか)
鼠(ねずみ)
夏中・・・夏のなかば。夏の盛り。
鼠・・・1.ネズミ科の哺乳動物の総称。人家の付近などに住む、敏捷な小動物。繁殖力が高く、食害や伝染病の原因となるため嫌われている。
2.鼠色(ねずみいろ)の略。
3.比喩として、こそこそと悪事を働く者、ひそかに害をなす者のたとえ。
2.鼠色(ねずみいろ)の略。
3.比喩として、こそこそと悪事を働く者、ひそかに害をなす者のたとえ。
ここに意味を表示
大食い・大食漢の表現・描写・類語(性格・態度のカテゴリ)の一覧 ランダム5
凄まじい食欲で、食べるのも早かったが、品のなさは感じられなかった。腹を空かせた動物が、目の前にある食べ物に夢中になっている、といった感じだった。
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
退屈・うんざり・味気ないの表現・描写・類語(退屈のカテゴリ)の一覧 ランダム5
長い愚にもつかない芝居
林芙美子 / 新版 放浪記
(物足りない)酒と水のすりかえが行われたかのようなある物足りなさ
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
このカテゴリを全部見る
「退屈」カテゴリからランダム5
まだ眠くて堪らない小犬のように眼をつむったまま加奈子の笑い声をうるさがった。
岡本 かの子 / 春「岡本かの子全集 (第2巻)」に収録 amazon
時間をかけて数ページ読み進んだところで、本の内容がまったく頭に入っていないことに気がついた。ふたつの目はしっかりと行を追っているのに、意識はどこか別の領域をさまよっている。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
「性格・態度」カテゴリからランダム5
笑い方もぎごちなかった。見映えのしない平べったい目鼻立ちは、笑うことを 億劫 がっているように見えた。
向田邦子 / だらだら坂「思い出トランプ(新潮文庫)」に収録 amazon
他人から木の端のように取り扱われる
夏目 漱石 / 坊っちゃん amazon
同じカテゴリの表現一覧
退屈 の表現の一覧
退屈の感覚、精神的な反応
退屈の表情、リアクション
その他の退屈の表現
性格・態度 の表現の一覧
感情表現 大カテゴリ