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すべてにつまずいて、すべてに見限られて、すべてを見限ろうとする、苦しみぬいた一つの魂が、虚無の世界の幻の中から消えて行くのだ。そこには何の未練も執着もない。うれしかった事も、悲しかった事も、悲しんだ事も、苦しんだ事も、畢竟 は水の上に浮いた泡 がまたはじけて水に帰るようなものだ。
有島武郎 / 或る女(後編) ページ位置:66% 作品を確認(青空文庫)
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自殺願望・死にたい
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前後の文章を含んだ引用
......何事もうそから出た誠だ。……葉子はほんとうに生きている事がいやになった。 ……そこまで来て葉子は始めて自分が家を出て来たほんとうの目的がなんであるかに気づいた。すべてにつまずいて、すべてに見限られて、すべてを見限ろうとする、苦しみぬいた一つの魂が、虚無の世界の幻の中から消えて行くのだ。そこには何の未練も執着もない。うれしかった事も、悲しかった事も、悲しんだ事も、苦しんだ事も、畢竟 は水の上に浮いた泡 がまたはじけて水に帰るようなものだ。倉地が、死骸 になった葉子を見て嘆こうが嘆くまいが、その倉地さえ幻の影ではないか。双鶴館の女将 だと思った人が、他人であったように、他人だと思ったその人が、案外双鶴......
単語の意味
虚無(きょむ)
虚無・・・むなしいこと。人生のむなしさを意識すること。この世のありとあらゆるものに価値や意味などないと認めてしまうこと。
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深まりゆく秋の中でもうすでに、友子は死にはじめていた。友子の心にはもう誰のどんな言葉もちゃんと届かず、友子しかいなかった。
吉本ばなな / サンクチュアリ「うたかた/サンクチュアリ」に収録 amazon
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新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 amazon
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