かじかんでこの雪の中を野良犬のように歩いている

雪も歇（や）むんだ。空がさもがっかりしたようにぼんやりした。

店を出る頃には、雨は雪に変わっていた。 　大気にたっぷりと満ちた湿気のおかげか、雪の舞う街は妙に暖かく、俺は間違った季節に迷い込んでしまったような不安をふいに感じる。

自転車のタイヤが雪をくわえて鼠の鳴くように、きしんだ

窓で区切られた灰色の空から大きい牡丹雪がほうっとこちらへ浮び流れて来る。なんだか静かな嘘のようだった。

春が近づいてから降る雪は湿って重い。

雪は静かに降り続いていた。それは僕のコートに落ちて、しばらく戸惑い、そして消えていった。

雪の中をキャアキャア言いながら犬のように走り回る

ホームの灯が消された。雪明りが待合室をぼんやりと染めた。

雪の乱舞