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部屋は、秒を刻む時間を感じさせないほどにしんとして、私だけが生きて活動していることを申しわけなく思うような静止した雰囲気をかもしだしていた。 人が死んだ後の部屋はいつもこうだ。
吉本 ばなな / 満月 キッチン2「キッチン (角川文庫)」に収録 ページ位置:18% 作品を確認(amazon)
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室内(空間)が静か
使われていない部屋・部屋主がなくなった部屋
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前後の文章を含んだ引用
......てね。」「うひゃー。お嫁さんみたい。」 とぶつぶつ文句を言って、雄一は出ていった。 扉の閉まる音と共に、やっとひとりになったらぐったりと疲れているのに気づいた。部屋は、秒を刻む時間を感じさせないほどにしんとして、私だけが生きて活動していることを申しわけなく思うような静止した雰囲気をかもしだしていた。 人が死んだ後の部屋はいつもこうだ。 私は、ぼんやりとソファに埋もれて、広い窓の外、冬の初めのグレーが街を覆っているのを見つめていた。 この小さな街のすべての部分に、公園に、路に、霧のようにしみと......
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室内(空間)が静かの表現・描写・類語(音の響きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
吐息が聞こえるほど静か
池井戸 潤「民王 (文春文庫)」に収録 amazon
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使われていない部屋・部屋主がなくなった部屋の表現・描写・類語(室内のようすのカテゴリ)の一覧 ランダム5
ドアを開ける度、ぞっとした。住まなくなってからのここは、まるで別人の顔をするようになった。 しんと暗く、なにも息づいていない。見慣れていたはずのすべてのものが、まるでそっぽを向いているではないですか。私は、ただいまと言うよりはおじゃましますと告げて抜き足で入りたくなる。 祖母が死んで、この家の時間も死んだ。 私はリアルにそう感じた。
吉本 ばなな / キッチン「キッチン (角川文庫)」に収録 amazon
最小限の家具しかなく、がらんとして薄暗かった。広い方の部屋にはツイン・ベッドとドレッサーがあり、ベッドは枠だけの裸だった。死んでしまった時間の匂いがした。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
(えり子が亡くなって雄一が残った部屋)部屋中が夜の中でしんと静まって、雄一の声を聞いているようだった。この部屋もまたえり子さんの不在にとまどっているように感じ続けていた。
吉本 ばなな / 満月 キッチン2「キッチン (角川文庫)」に収録 amazon
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「音の響き」カテゴリからランダム5
小川のせせらぎが、どこか遠くから響いてくるように眠たげ
山本 周五郎 / やぶからし amazon
声は雷 のように、階の上から響きました。
芥川龍之介 / 杜子春
「室内のようす」カテゴリからランダム5
呼び鈴を鳴らした。すると、応答があり、玄関戸が開いた。
翔田 寛「真犯人 (小学館文庫)」に収録 amazon
何かに引っ掛かるようにがた、がた、と扉が開いた。《…略…》扉はいつもそんなふうにぎこちなく開くのだった。
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
山の方には実にたくさんの灯りが見えた。もちろんどの灯りが君の病室のものかはわからない。あるものは貧しい家の灯りだし、あるものは大きな屋敷の灯りだ。
村上春樹「風の歌を聴け (講談社文庫)」に収録 amazon
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