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光代はうっすらと積もった雪に足跡をつけながら、通りの向こうのコンビニへ向かった。《…略…》「あんたの気持ちだけで、その人のこと縛りつけたらいけんやろ」 たった今、珠代に言われた言葉が、地面に残る足跡と一緒についてくる。
吉田修一「悪人」に収録 ページ位置:89% 作品を確認(amazon)
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耳に残る・音声を覚えている
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......れた気がした。珠代なら理解してくれると思ってかけたわけではないが、やはり自分たちに味方などいないのだと思い知らされた。 電話ボックスを出ると、雪がやんでいた。 光代はうっすらと積もった雪に足跡をつけながら、通りの向こうのコンビニへ向かった。食料はすでに買い込んでいたが、480円だった手袋を、祐一のために買ってやろうと思っていた。「あんたの気持ちだけで、その人のこと縛りつけたらいけんやろ」 たった今、珠代に言われた言葉が、地面に残る足跡と一緒についてくる。 がらんとしたコンビニの駐車場に、エンジンをかけたままの車が一台停まっていた。マフラーから吐き出される排気ガスが、綿のように白い。普通ならすぐに気づくはずなのに......
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