月は高く明るく、星をかき消して夜空を渡ってゆく。満月だった。
吉本 ばなな / 満月 キッチン2「キッチン (角川文庫)」に収録 ページ位置:82% 作品を確認(amazon)
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月
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前後の文章を含んだ引用
......冴えた。暗い車内で窓に向かって体を起こしてすわり直すと、運転手が、「空いてたんで速かったねえ、もうすぐ着くよ。」 と言った。 私はええ、と言って空を見上げた。 月は高く明るく、星をかき消して夜空を渡ってゆく。満月だった。雲にかくれ、さらりとまた姿を現す。車の中は暑く、息でガラスが曇った。木々や畑や山々のシルエットが切り絵のようにゆき過ぎる。トラックが時折すごい音で追い越してゆき......
単語の意味
満月(まんげつ)
夜空(よぞら)
満月・・・月が地球から見て、太陽と正反対の方向にある瞬間。また、このときに月の前面がまんまるに輝いて見える現象。もしくは、このときの月の形。望(ぼう)。望月(ぼうげつ・もちづき)。盈月(えいげつ)。十五夜の月。⇔ 新月(しんげつ)。
夜空・・・夜の空。
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月の表現・描写・類語(空・中空のカテゴリ)の一覧 ランダム5
通り過ぎたばかりの雲の縁が、月の明かりに淡く染められている。長いスカートの裾をうっかり染料に浸けてしまったみたいに。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
昼の月が、やぶけたオブラートのように、青い空に張りついていた。
山本 有三 / 波 amazon
鎌の形をした下弦の月が、中空に舞台のバックのように釘付けになっている
徳永 直 / 太陽のない街 amazon
月がときどき雲間から顔を見せるようになった。世界中の海がその潮の流れを調整していた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
月が青い氷のなかの刃のように澄み出る
川端 康成 / 雪国 amazon
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「空・中空」カテゴリからランダム5
南の山のすぐ下を、神去川が闇に白く流れている。見上げれば映したように、空にも大きな星の川。
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon
海原にかかる大瀑布のごとく、横にのびた巨大な渦巻く雲
阿川 弘之 / 雲の墓標 amazon
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