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(パラレルワールドに入り込む)どこかの時点で私の知っている世界は消滅し、あるいは退場し、別の世界がそれにとって代わったのだ。レールのポイントが切り替わるみたいに。つまり、今ここにある私の意識はもとあった世界に属しているが、世界そのものは既に別のものにかわってしまっている。そこでおこなわれた事実の変更は、今のところまだ限定されたものでしかない。新しい世界の大部分は、私の知っているもともとの世界からそのまま流用されている。だから生活していくぶんには、とくに現実的な支障は(今のところほとんど)ない。しかしそれらの「変更された部分」はおそらく先に行くにしたがって、更に大きな違いを私のまわりに作り出していくだろう。誤差は少しずつ膨らんでいく。そして場合によってはそれらの誤差は、私の取る行動の論理性を損ない、私に致命的な過ちを犯させるかもしれない。もしそんなことになったら、それは文字通り命取りになる。
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単語の意味
幾分(いくぶん)
パラレルワールド(ぱられるわーるど)
幾分・・・全体のうちの一部。ちょっと。少しだけ。
パラレルワールド・・・平行世界。今ある世界とは別の、並行して存在する別の世界。今の世界と似ているけど、少し違いがある世界。「もしあの時こうだったら、世界はこうなっていた」というフィクションでよく用いられる。
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(パラレルワールドに入り込んで、)私がおかしくなっているのか、それとも世界がおかしくなっているのか、そのどちらかだ。どちらかはわからない。瓶と蓋の大きさがあわない。それは瓶のせいかもしれないし、蓋のせいかもしれない。しかしいずれにせよ、サイズがあっていないという事実は動かしようがない。
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(海上を、海中を、空中を征服していく人間の意志は)いつかは滅亡すべき運命を持ったこの地球から殉死させずに人類を救い出そうという無意識的な意志である
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
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