空がまるで青びかりでツルツルしてその光はツンツンと二人の眼にしみ込みまた太陽を見ますとそれは大きな空の宝石のやうに橙（だいだい）や緑やかゞやきの粉をちらしまぶしさに眼をつむりますと今度はその蒼黒（あをぐろ）いくらやみの中に青あをと光って見えるのです、あたらしく眼をひらいては前の青ぞらに桔梗（ききゃう）いろや黄金（きん）やたくさんの太陽のかげぼふしがくらくらとゆれてかゝってゐます。

僕は午前八時半に目を覚ました。前日と同じように雲ひとつない上天気だった。まるで昨日のつづきみたいだな、と僕は思った。夜のあいだ 一時 中断していた人生のつづきがまた始まったのだ。

当日は、よく晴れた、空の青さが、 忙しなく家を出た人々の口を、一瞬、ぽかんと開けたままにさせるような朝だった。

抜けるような青空のもと

洗濯日和の午前の柔らかい日差しの中

窓越しに差し込んでくる初夏の日射し

こずえの葉のあいだから、光のかけらが星のように光っていた。

新聞を開いて天気図をにらんでみても、どこにも台風のしるしなんてない。降水確率はみごとにゼロ・パーセントときている。天気図で見るかぎり、それは全盛時のローマ帝国のように平和な日曜日であるはずだった。

扉を少し開けると刃のような冷たい光が射してくる

暗い部屋の中に、明るい光が平たい板のような形に射し込んできている。雨戸の隙間から射す朝の光だ。