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葉子の心は月の光で清められたかと見えた。
有島武郎 / 或る女(後編) ページ位置:94% 作品を確認(青空文庫)
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月の光・月明かり
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......たかった。つやもいつか葉子の気分に引き入れられて、鼻をすするまでに涙ぐんでいた。  葉子はやがて打ち開いた障子から蚊帳かや越しにうっとりと月をながめながら考えていた。葉子の心は月の光で清められたかと見えた。倉地が自分を捨てて逃げ出すために書いた狂言が計らずその筋の嫌疑けんぎを受けたのか、それとも恐ろしい売国の罪で金をすら葉子に送れぬようになったのか、それはどうでもよかっ......
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