みだれた雪の肌理が微かに光る

枝に積もった雪が粉のように散る

陰鬱 に降りつづく雪を憎んでいた。雪煙が、強く吹いている風にあおられて竜夫の顔や胸にかかった。

雪は静かに降り続いていた。それは僕のコートに落ちて、しばらく戸惑い、そして消えていった。

雪が街の音を吸い込みながらいつまでもいつまでも降り続けていた。音というものがまるで聞こえなかった。

空が雪でも来そうに重い

宝剱岳の右手には、飛白（かすり）のように雪をつけて三ノ沢岳が（そびえている）

霧のように灰色に立ち込めた雪の空

小降りになったり 烈しく吹きつのったりしながら、雪はいっこうにやむ気配を見せなかった。道行く人はみな 外套 を白く染め、身を 屈かがめて急いでいた。

雪が降り始めたとき、足を止め、一瞬、空を仰いだ。 　あっという間に、目の前の世界が粉雪に覆われる。どんよりと曇った博多の街に降る粉雪のせいで、とつぜん焦点が合わなくなる。そこにある郵便ポストが遠くに見え、通りの向こうに建つビルのほうが近寄ってくる。