外は凍りつくような寒夜である。 （こういうときには、ぜひとも蕎麦を食べなくては……） と、おもい、近くの浜町の〔藪〕へおもむき、鴨南ばんで熱い酒をのんだ。酒と蕎麦の味が、このような寒夜には、腸へしみとおるようにうまいものだ。
池波 正太郎「食卓の情景 (新潮文庫)」に収録 ページ位置：55% 作品を確認（amazon）
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日本酒
寒い・冷気・凍える
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前後の文章を含んだ引用
......つかしがっていた。 それから間もなく、今年に入って一月の二日。突然、佐藤氏が死去された。 人形町の佐藤家へ行き、未亡人の案内で線香をあげ、語り合って辞去すると、外は凍りつくような寒夜である。 と、おもい、近くの浜町の〔藪〕へおもむき、鴨南ばんで熱い酒をのんだ。酒と蕎麦の味が、このような寒夜には、腸へしみとおるようにうまいものだ。 佐藤要氏も、蕎麦が大好物であった。◇ 長谷川師の歌に、手からはなした万年筆の音が耳立つ午前二時 というのがある。 いかに、従来の四畳半趣味の都々逸とちがうもの......
単語の意味
趣（おもむき）
腸（わた）
熱い（あつい）
寒夜（かんや）
趣・・・しっとりと落ち着いて、心惹かれる特徴や雰囲気。そのものがもっている、自然とかもし出される（いい）雰囲気。ずいぶん昔のものなのに、手入れがされているさま。風情（ふぜい）。
腸・・・内臓のこと。はらわた。
熱い・・・１．温度が高いと感じる。
２．気持ちが高まった状態である。関心を寄せている。「今B級グルメが熱い」
２．気持ちが高まった状態である。関心を寄せている。「今B級グルメが熱い」
寒夜・・・寒い夜。冬の寒い夜。
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