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部屋中の品物に順番に視線を移しながら、夕闇に目が慣れるのを待った。すべての物が眠りに落ちたように、ひそやかだった。
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 ページ位置:90% 作品を確認(amazon)
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室内の闇・部屋が暗い
夜のしじま(静けさ)
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前後の文章を含んだ引用
......んで降り続いていた。 先生はすぐに寝息を立てはじめた。あどけないほどに滑らかな、眠りの訪れだった。わたしは壁掛時計やクッション、マガジンラック、ペン立て、そんな部屋中の品物に順番に視線を移しながら、夕闇に目が慣れるのを待った。すべての物が眠りに落ちたように、ひそやかだった。 その静けさの中で、不意に何かが鼓膜を揺らした。蜜蜂だ、とわたしはすぐに分った。それは強くなったり弱くなったりせず、同じ波長で一直線に響いていた。辛抱強く耳の奥......
単語の意味
夕闇(ゆうやみ)
視線(しせん)
夕闇・・・日が沈んで、月が出るまでの間の薄い暗闇。夕方、月がなくて暗いこと。
視線・・・目と、目が見ようとしているモノとを結ぶ線。目が見ている方向。見つめている方向。
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室内の闇・部屋が暗いの表現・描写・類語(光と影のカテゴリ)の一覧 ランダム5
薄暗い玄関が水の中のように感じられる。
黒井 千次 / 群棲 amazon
電灯の紐を引張った。小さな青い光が、部屋を沈め
松本 清張 / 真贋の森「松本清張ジャンル別作品集(3) 美術ミステリ (双葉文庫)」に収録 amazon
四囲は水族館の水槽の底のように暗く沈んでいった
林 芙美子 / 女性神髄 (1949年) amazon
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夜のしじま(静けさ)の表現・描写・類語(時間帯(朝・昼・夜)のカテゴリ)の一覧 ランダム5
夜のしずかな物音をきいていた。虫の音、車両の音、どこかで赤子が泣いている
野間 宏 / 残像「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
人通りのない朱雀 の大路 を、二人は静かに馬を進めて行った。兄も黙っていれば、弟も口をきかない。しんとした夜は、ただ馬蹄 の響きにこだまをかえして、二人の上の空には涼しい天の川がかかっている。
芥川龍之介 / 偸盗
どこの家もしんとして赤子の泣く声が時おり聞こえるばかりだ。
有島武郎 / 生まれいずる悩み
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「時間帯(朝・昼・夜)」カテゴリからランダム5
あや目も知れない闇 の中から、硫黄 が丘 の山頂――右肩をそびやかして、左をなで肩にした――が雲の産んだ鬼子のように、空中に現われ出る。鈍い土がまだ振り向きもしないうちに、空はいち早くも暁の光を吸い初めたのだ。
有島武郎 / 生まれいずる悩み
空の赤が丘の輪郭を描き出していた
大岡 昇平「野火(新潮文庫)」に収録 amazon
「光と影」カテゴリからランダム5
国技館の丸屋根の灯は、王冠のように美しかった。
平林 たい子 / 桜「平林たい子全集 2」に収録 amazon
フロント・ガラスのむこうを見ると、闇の底がボンヤリと明るくなって、その明るさの帯が少しずつ太くなった。
阿刀田 高 / 捩れた夜「ナポレオン狂 (講談社文庫)」に収録 amazon
「室内のようす」カテゴリからランダム5
ドアを開ける度、ぞっとした。住まなくなってからのここは、まるで別人の顔をするようになった。 しんと暗く、なにも息づいていない。見慣れていたはずのすべてのものが、まるでそっぽを向いているではないですか。私は、ただいまと言うよりはおじゃましますと告げて抜き足で入りたくなる。 祖母が死んで、この家の時間も死んだ。 私はリアルにそう感じた。
吉本 ばなな / キッチン「キッチン (角川文庫)」に収録 amazon
竹垣の透間から佃の部屋の灯が煌々と往来まで洩れていた。
宮本百合子 / 伸子
吉川英治 / 無宿人国記
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