私の舌はお菓子を買ってくれなくて駄々をこねる子供の手足みたいに、めちゃくちゃに暴れていた。

（二つの影）二つの頭はひとつになり、たがいをむさぼり合う音が聴こえてきた。

恋人同士のように抱き合ってキスをする

スタンは顔を斜めに傾けた。そして、ゆっくりとサユリの顔に自分のそれを近づけた。彼女の瞼は彼の唇の移動するのと同じ速さで閉じられた。そうして、彼は自分の存在をかけて、六本木の雑踏の中、甘やかな口づけを恋する女に贈った。

唇に小粒（こつぶ）な白い歯をもって行く。薫は黙って吸わせたままに

伊豆の別荘で潮風にまみれて、いとおしんだサユリの手や足たち。それらの饒舌で美しい蜘蛛のようなゆったりとした動き。

しゃにむにキスをする

至情をささげる

わたしは自分の中に、性的な力が 漲ってくるのを覚えた。

この恋はとても特殊に白く光っていて　（あの日のＵＦＯみたいに）、違う運命にジャンプするために二人で組まなくてはいけない、という感じがした。 　後のことはいいから、とにかく今、手をつないで飛ばないと、このめまぐるしく変化する人生とはぐれてしまう。