ふと、秋の冷気に似たものが晉作の背筋を走った。思想と名づけるには、あまりに形のなさすぎる、だが感情と呼ぶには、厚味のありすぎる、強いて例えれば、眼にみえない手によって白刃を胸もとにつきつけられたような戦慄感であった。
林 房雄 / 青年 (1964年) 作品を確認(amazon)
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驚きや恐怖による寒気・ひやり
恐怖を背中で感じる
突然恐怖に襲われる
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単語の意味
白刃(しらは・はくじん)
冷気(れいき)
背筋(せすじ・はいきん)
胸元・胸許(むなもと)
胸(むね)
戦慄(せんりつ)
白刃・・・さやから抜かれた刀。抜き身。
冷気・・・ひんやりと冷たい空気。冷え冷えした気候。
背筋・・・1.(せすじと読んで)背骨の外側のくぼんだ部分。背中の中心線。
2.(せすじと読んで)裁縫で、背中にあたる縫い目。
3.(はいきんと読んで)背中にある筋肉。背骨の外側を、縦(たて)に通る筋肉。
2.(せすじと読んで)裁縫で、背中にあたる縫い目。
3.(はいきんと読んで)背中にある筋肉。背骨の外側を、縦(たて)に通る筋肉。
胸元・胸許・・・胸の元・許(=付け根)。胸のあたり。胸先・胸前(むなさき)。
戦慄・・・怖くて震えること。おののくこと。「戦」も「慄」も訓読みで「おのの(く)」と読める。
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ひやりとして、心臓は電撃を受けたような衝動を感じた。
岡本かの子 / 金魚撩乱
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夏目漱石 / 吾輩は猫である
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肩口に兆した戦慄が、どこに駆け抜ければ良いかわからぬように何度となく背中を走り、腕や足に散った。
平野啓一郎「ある男」に収録 amazon
急に小さな 戦慄 が走り抜けた。
阿刀田 高 / 狂暴なライオン「ナポレオン狂 (講談社文庫)」に収録 amazon
全身がひきつるように痙攣する。まるで氷の中にいるようだ。間断なく戦慄がおこり、がちがちと歯と歯がぶつかりあう。
北 杜夫 / 谿間にて「新潮日本文学 61 北杜夫集―楡家の人びと・他」に収録 amazon
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自分の胸の中で暗い想像が、輪郭のはっきりしない重苦しい塊が、膨らむのが分かる。
伊坂 幸太郎 / マリアビートル amazon
Tシャツの胸の辺りは汗染みで赤ん坊の涎掛けのよう
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
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全身に冷水を浴びせられたように悸然(ぎょっ)とした。
加能 作次郎 / 世の中へ amazon
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彼女が強いショックを受けたのは明らかだった。唇は開いたまま硬直し、眼を盛んにしばたたかせて、喜怒哀楽のどれにも属さない表情を見せた。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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