船が行先きにもり上った波に突き入ると、「おもて」の甲板を、波は自分の敷居でもまたぐように何んの雑作もなく、乗り越してきた。
小林多喜二 / 蟹工船 ページ位置:17% 作品を確認(青空文庫)
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嵐の中の船
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......るんだ。見付けたら、畜生、タタきのめしてやるから!」 監督は棍棒を玩具のようにグルグル廻しながら、船の中を探して歩いた。 時化は頂上を過ぎてはいた。それでも、船が行先きにもり上った波に突き入ると、「おもて」の甲板を、波は自分の敷居でもまたぐように何んの雑作もなく、乗り越してきた。一昼夜の闘争で、満身に痛手を負ったように、船は何処か跛 な音をたてて進んでいた。薄い煙のような雲が、手が届きそうな上を、マストに打ち当りながら、急角度を切って吹き......
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嵐の中の船の表現・描写・類語(水面・水中・水辺のカテゴリ)の一覧 ランダム5
波の背 に乗って四十五度くらいの角度に船首を下に向けながら、帆をいっぱいに開いて、矢よりも早く走って行く一艘 の船!
有島武郎 / 生まれいずる悩み
火が燃え立つように、ちらりちらり白い波頭 が立っては消え、消えては立ちして、瞬間ごとに高さを増して行った。吹き荒れる風すらがそのためにさえぎりとめられて、船の周囲には気味の悪い静かさが満ち広がった。それを見るにつけても波の反対の側をひた押しに押す風の激しさ強さが思いやられた。
有島武郎 / 生まれいずる悩み
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海は黒くもりあがっていて、海のおそろしいまでな情熱が私をコウフンさせてしまった。
林芙美子 / 新版 放浪記
青い海と空を背景に構成された景色が、息をのむほどに、明るく美しい
石坂 洋次郎 / 丘は花ざかり amazon
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車がゆるやかな流れに吸い込まれるイカダのように右に寄って行く
干刈 あがた / ウホッホ探険隊 amazon
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台風が去ったあとの川には、畳や 窓枠 などと一緒に、額に納まったままの油絵や木製の置き物といった思いもかけない漂流物が流れてくる。付近の子供たちは、手に手に長い 竿 や網を持って河畔に集まり、めぼしい品を引きあげて晴れた空に乾かすのである。それが台風のあとの楽しみでもあった。そしてこんな日は、 鮒 や鯉の群れが、日がな一日川面に浮きあがって疲れた体をのんびり 癒していた。
宮本 輝 / 泥の河「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 amazon
海が冷えて重々しい金属のような波に揺れ動く
加賀 乙彦 / 海霧 amazon
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