夕空に舞い狂う赤とんぼの色。

杉林の前には、数知れぬ蜻蛉の群が流れていた。たんぽぽの綿毛が飛んでいるようだった。

稲の絨毯が燃え上がるように輝き、そのうえをトンボの群れが不規則な軌跡を描いて飛行する

絣（かすり）のように群がり光る赤トンボ共

朱ザヤのような照りのある、小がらの赤トンボ

秋の日差しが並木の上に踊るように輝く

去年の落ち葉が堆肥のように腐っている

トンボがとまっている。羽根が白く透けてふるえている。

ケヤキの落ち葉がベランダの目隠しのプラスチック板に打ちつけられ、辛辣な乾いた音を立てた。

西日がストンと家並みの向こうに落ちると急に冷たい秋風が立つ。空はもう冬の色だ。

山のダニはでかい。五ミリはゆうにあり、肉眼ではっきり見える。

絣（かすり）のように群がり光る赤トンボ共

（冬のハエ）日蔭ではよぼよぼとしている彼らは日なたのなかへ下りて来るやよみがえったように活気づく。《…略…》彼らを見ていると彼らがどんなに日光を恰（たの）しんでいるかが憐（あわ）れなほど理解される。とにかく彼らが嬉戯（きぎ）するような表情をするのは日なたのなかばかりである。《…略…》日なたのなかから一歩も出ようとはしない。日が翳（かげ）るまで、移ってゆく日なたのなかで遊んでいるのである。

環虫類も何だか虫の中では醜（みにく）い衰亡者（すいぼうしゃ）のように思える

蟻塚がうず高く積もり、蟻が吹き出すように溢れている