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彼が死んだ夜から私の心は別空間に移行してしまい、どうしても戻ってこれない。昔のような視点で、どうしても世界を見ることができない。頭が不安定に浮き沈みして、落ち着かずにぼんやりいつも重苦しい。
吉本 ばなな / ムーンライト・シャドウ「キッチン (角川文庫)」に収録 ページ位置:5% 作品を確認(amazon)
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喪失感(大切なものを失う)
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前後の文章を含んだ引用
......としたらなんと切ないことであろうか。 恋人を亡くしたのは長い人生、と言っても二十年やそこらだが、のうちで初めての体験で私は息の根が止まるかと思うくらい苦しんだ。彼が死んだ夜から私の心は別空間に移行してしまい、どうしても戻ってこれない。昔のような視点で、どうしても世界を見ることができない。頭が不安定に浮き沈みして、落ち着かずにぼんやりいつも重苦しい。人によっては一生に一度もしなくていいことのひとつにこうして参加してしまったことを、ただ残念に思う。 そりゃあ、まだ私たちは若かったし、人生最後の恋ではなかったか......
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喪失感(大切なものを失う)の表現・描写・類語(悲しみのカテゴリ)の一覧 ランダム5
(自殺した友子)そしてわかった。自分が実は友子を恨んでいるということ。あの夜彼女は自分の言いたいことだけ言い、思い残すことなくこの世を去り、智明の心だけがあの夜の中に置き去りにされたこと。
吉本ばなな / サンクチュアリ「うたかた/サンクチュアリ」に収録 amazon
(父の死)二人が座るにしては広すぎる食卓
朝井 リョウ / 僕は魔法が使えない「もういちど生まれる (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
(喪失感をまぎらすためにジョギングを始めた私と亡くなった彼女のセーラー服を着て過ごす柊という男)彼のセーラー服は私のジョギングだ。全く同じ役割なのだ。私は彼ほど変わり者でないので、ジョギングで充分だっただけのことだと思う。彼はそのくらいでは全くインパクトに欠けて自分を支えるにはもの足りないのでバリエーションとしてセーラー服を選んだ。どちらもしぼんだ心にはりを持たせる手段にすぎない。気をまぎらわせて時間をかせいでいるのだ。 私も柊もこの二カ月で、今までしたことのない表情をするようになった。それは失ってしまったものを考えまいと戦う表情だった。ふっと思い出して突然に孤独が押してくる闇の中に立っていると知らず知らずのうちにそういう顔になってしまうのだ。
吉本 ばなな / ムーンライト・シャドウ「キッチン (角川文庫)」に収録 amazon
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「心」の言葉を含む悲しみの表現・描写・類語(悲しみのカテゴリ)の一覧 ランダム5
足を進めることを、生きてゆくことを心底投げ出したかった。きっと明日が来て、あさってが来て、そのうち来週がやってきてしまうに違いない。それをこれほど面倒だと思ったことはない。きっとその時も自分が悲しい暗い気分の中を生きているだろう、そのことが心からいやだった。
吉本 ばなな / 満月 キッチン2「キッチン (角川文庫)」に収録 amazon
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「誰かが死ぬと、残された人たちはみんな、その人にまつわるいろんな後悔を背負って生きていかなくちゃいけないんだね。」
小川洋子 / 完璧な病室「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
魚のように無表情な死骸
川端 康成 / 掌の小説 amazon
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