六時を過ぎると街は 鈍色にびいろ の夜に変っていた。

夕暮の風が海を渡りそして草を揺らせる間に、夕闇がゆっくりと淡い夜に変わり、幾つかの星がドックの上にまたたき始めた。

薄暮がやってきて、やがてほんのりと青い夜の闇が庭を包んだ

完全に暮れきっていない空は、濃い紫で、西の山際は、まだほのかに明るかった。

濃い朱色の雲が、朱肉を滲ませた綿をキャンバスに叩きつけたような形で散らばっている

闇に浮かぶこの小さな部屋

月のない、墨を流したような夜

夕陽が麦畑の上に赤い玉になって落ちて行く。

日差しが、柔らかい赤みを帯びた光になる

ここいらは、川幅の中程まで進んでもせいぜい膝くらいまでの深さしかない。流れも穏やかだ。しかし夜の川は不意に底なしに深まりそうで、黒い水が急に重たくなって、体に絡みつき沈んでいく、そんな想像をさせる。