(ホテル・オークラ)本館のロビーは広々として天井が高く、ほの暗く、巨大で上品な洞窟を思わせた。ソファに腰をおろして何ごとかを語り合う人々の声は、臓腑を抜かれた生き物のため息のようにうつろに響いた。カーペットは厚く柔らかく、極北の島の太古の苔を思わせた。それは人々の足音を、蓄積された時間の中に吸収していった。ロビーを行き来する男女は、何かしらの呪いで大昔からそこに縛りつけられ、与えられた役割をきりなく繰り返している一群の幽霊のように見えた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
旅館・ホテル
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
no data
単語の意味
虚ろ・空ろ・洞ろ(うつろ)
臓腑(ぞうふ)
腰(こし)
溜め息・溜息・ため息(ためいき)
虚ろ・空ろ・洞ろ・・・1.空洞(くうどう)。空っぽ。中身が何もないこと。
2.心が空っぽになり、生気がないさま。表情がボーっとして気持ちがないさま。
2.心が空っぽになり、生気がないさま。表情がボーっとして気持ちがないさま。
臓腑・・・内臓全体のこと。五臓と六腑。はらわた。
腰・・・1.胴体の下の方の部分で、上体と下肢(かし)をつなぐ部分。座る姿勢をとったとき、骨盤あたりの折り曲がる部分を漠然という。ウエスト。
2.衣服やはかまの腰にあたる部分。
3.あらゆる物の、腰に相当する部分。中ほどより少し下の部分。
4.紙や布などの、しなやかで破れにくい性質。
5.餅(もち)や粉などの、粘りや弾力。
6.刀や袴など、腰につけるものを数えるときの単位。「刀ひと腰」「袴ひと腰」
7.何かをする際の姿勢や構え。「及び腰」「けんか腰」など。
2.衣服やはかまの腰にあたる部分。
3.あらゆる物の、腰に相当する部分。中ほどより少し下の部分。
4.紙や布などの、しなやかで破れにくい性質。
5.餅(もち)や粉などの、粘りや弾力。
6.刀や袴など、腰につけるものを数えるときの単位。「刀ひと腰」「袴ひと腰」
7.何かをする際の姿勢や構え。「及び腰」「けんか腰」など。
溜め息・溜息・ため息・・・気苦労や失望、また、感動したときや緊張がとけたときに、思わず出る大きな息。大息(おおいき・たいそく)。長息(ちょうそく)。
ここに意味を表示
旅館・ホテルの表現・描写・類語(店・施設のカテゴリ)の一覧 ランダム5
(歴史のあるぼろホテル)人々の思いや時の残滓が、その床の軋みのひとつひとつに、壁のしみのひとつひとつに留まっていた
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
(ホテルの一部がうらぶれて博物館のようになっていて、)暗い廊下の奥に羊の剥製やら、埃だらけの毛皮やら、黴臭い資料やら、茶色く変色した古い写真やらが積みかさねてある(略、)果たされざる想いが乾いた泥のように隅々にしっかりとこびりついているようなホテル
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
(安いビジネスホテル)駅に近く、ベッドが部屋のほとんどのスペースを占め、窓からは隣りのビルの壁しか見えず、肘を二十回くらい壁にぶっつけないことにはシャワーも浴びられないようなところだ。各階の廊下に、飲み物や洗面用具の自動販売機が置いてある。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
チエホフの小説にでもありそうな古風な浜辺の宿
林芙美子 / 新版 放浪記
このカテゴリを全部見る
「店・施設」カテゴリからランダム5
山の中の湯の湧 くとこ
宮沢賢治 / 鹿踊りのはじまり
同じカテゴリの表現一覧
店・施設 の表現の一覧
風景表現 大カテゴリ