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人通りのない朱雀 の大路 を、二人は静かに馬を進めて行った。兄も黙っていれば、弟も口をきかない。しんとした夜は、ただ馬蹄 の響きにこだまをかえして、二人の上の空には涼しい天の川がかかっている。
芥川龍之介 / 偸盗 ページ位置:87% 作品を確認(青空文庫)
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夜のしじま(静けさ)
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前後の文章を含んだ引用
......馬上にある事も忘れたように、次郎はその時、しかと兄をいだくと、うれしそうに微笑しながら、頬 を紺の水干 の胸にあてて、はらはらと涙を落としたのである。 半時 ののち、人通りのない朱雀 の大路 を、二人は静かに馬を進めて行った。兄も黙っていれば、弟も口をきかない。しんとした夜は、ただ馬蹄 の響きにこだまをかえして、二人の上の空には涼しい天の川がかかっている。 八 羅生門 の夜 は、まだ明けない。下から見ると、つめたく露を置いた甍 や、丹塗 りのはげた欄干に、傾きかかった月の光が、いざよいながら、残っている。が、......
単語の意味
天の川(あまのがわ)
上の空(うわのそら)
馬蹄(ばてい)
木霊・谺(こだま)
天の川・・・晴れた夜空に、白くて川のように見える星の群れ。夜、空に帯状に見える無数の恒星の集まり。銀河。
馬蹄・・・1.馬の蹄(ひづめ)。
2.馬の蹄(ひづめ)の下につけて、蹄がすれて薄くなるのを防ぐ器具。U字型で鉄製のものが多い。蹄鉄(ていてつ)。
2.馬の蹄(ひづめ)の下につけて、蹄がすれて薄くなるのを防ぐ器具。U字型で鉄製のものが多い。蹄鉄(ていてつ)。
木霊・谺・・・1.木に宿る霊。木の精霊。
2.(1が応えるものと考えられて)音や声が山や谷などの側面ぶつかって跳ね返ってきて聞こえる現象。山彦(やまびこ)。
2.(1が応えるものと考えられて)音や声が山や谷などの側面ぶつかって跳ね返ってきて聞こえる現象。山彦(やまびこ)。
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週末の夜ともなると、まるで夢の中に出てくる街のようにシンと静まり返る。
吉田修一「悪人」に収録 amazon
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看板にはもう 灯 が入っている。
宮本 輝 / 螢川「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 amazon
露店が店を畳む時刻
梶井基次郎 / 冬の日
空は夕焼して赤い色が天頂を越え、東の方中央山脈の群峰を雑色に染めていた。
昇平, 大岡「野火(のび) (新潮文庫)」に収録 amazon
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