足の甲がボールの表面に触れる。ぎゅっ、と手でつかむような感覚がある。足を振りぬくと、その軌道に合わせて、ボールが飛ぶ。足はとっくにボールから離れているにもかかわらず、飛んでいくボールは、自分の身体の一部に感じられた。緩やかな放物線は、僕の身体から発射された矢のようだ。それが、相手の足元にぴたっと、まるで接着するかのように受け止められる。
伊坂 幸太郎 / グラスホッパー ページ位置:38% 作品を確認(amazon)
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サッカー
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前後の文章を含んだ引用
......は人間の悪しき点だ、と彼女は言いたかったのかもしれない。確かに、サッカーボールを蹴り合っていると、問題が解決に近づいている気がした。まるで近づいていないのに。 足の甲がボールの表面に触れる。ぎゅっ、と手でつかむような感覚がある。足を振りぬくと、その軌道に合わせて、ボールが飛ぶ。足はとっくにボールから離れているにもかかわらず、飛んでいくボールは、自分の身体の一部に感じられた。緩やかな放物線は、僕の身体から発射された矢のようだ。それが、相手の足元にぴたっと、まるで接着するかのように受け止められる。 押し屋も比与子も関係なくなった。ボールのやり取りに夢中になり、ぼうっとしはじめる。心地良い。恍惚感が身体に広がる。 休憩休憩、と健太郎が声を上げるまで、周囲の......
単語の意味
身体(しんたい)
身体・・・人のからだ。肉体。
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リフティングを見せてもらった。サッカーボールが、生きもののように肩や足の先で跳ねていた。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー (文春文庫)」に収録 amazon
黒いジャケットのチームと緑色のジャケットのチームが、もつれ合ってボールを蹴っていた。
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 amazon
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洲の中の環虫類 を糸にたくさん貫 いて、数珠輪のようにして水に垂らす。蘆の根方に住んでいる小鰻 がそれに取りつく、環 をそっと引き上げて、未練に喰い下って来る小鰻を水面近くまでおびき寄せ、わきから手網 で、さっと掬 い上げる。
岡本かの子 / 渾沌未分
フリッパーの二本の腕がそれ(ボール)を投げ返した
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
魔女の跨 った箒 のように、自動車は私を高い空へ運んだ。
梶井基次郎 / 冬の蠅
凧が凧糸の唸りを蒔き散らしながら踊る
福永 武彦 / 草の花 amazon
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