私は小さい時から、冬になりかけるとよく歯が痛んだものだ。

快かった風が冷たい冬の棘に変わる

今朝の急激な冷え込みに、安藤は嫌でも冬の到来を実感させられた。マンションを出て大学に向かう途中、セーターを取りに戻ろうかと何度も足をとめたぐらいだ。結局そうしなかったのは、面倒くさかったせいもあるが、歩いているうちに身体が暖まってきたからに過ぎない。

十二月に入ると気候は急に冬めいてきた

沛然（はいぜん）とした雨が終日つづく。この雨があがれば、いよいよ冬の季節にはいるのであろう。

木々は白く固く輝いているかに見える

季節は厳冬に入り、空気はそれを呼吸しようとするとまるで凍った固体のように咽喉を塞ぎ、真空の無数の針のように皮膚を刺した。

十二月に入れば午後四時を過ぎると天空は慌ただしく寒々しい夜の準備に入っていく

しんしんと冷える冬の夜道は豪華な星空にいろどられ、私は晴れやかな気分だった。ほほにぴりぴりと風がしみて、星がまたたく。

外の冷たい空気は真近に迫った冬の到来を感じさせた。