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(戦前の東京)冬至がすぎると、夜毎に冴えわたってきて、町には暦売りが出て来るし、町の物音がちがってくる。  いまの東京の町の音は、車輛と工事の騒音のみになってしまい、これは春も夏も、師走だとて変ることがない。人の暮しにも季節がなくなってしまった。  町をながすさまざまな物売りの声や、道行く人びとの声までも、大晦日へ向ってあわただしく、 「押しつまってくる……」  のであった。
池波 正太郎「食卓の情景 (新潮文庫)」に収録 ページ位置:68% 作品を確認(amazon)
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年末・年の瀬
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前後の文章を含んだ引用
......そばの一つも食べたものである。 いまは柚子一個が百円も百五十円もする。ふんだんに湯の中へ投げこむわけにもゆくまい。柚子湯なぞ、むしろ、しないほうがよいほどだ。 冬至がすぎると、夜毎に冴えわたってきて、町には暦売りが出て来るし、町の物音がちがってくる。 いまの東京の町の音は、車輛と工事の騒音のみになってしまい、これは春も夏も、師走だとて変ることがない。人の暮しにも季節がなくなってしまった。 町をながすさまざまな物売りの声や、道行く人びとの声までも、大晦日へ向ってあわただしく、「押しつまってくる……」 のであった。 私の母などは、女手ひとつに家をささえていて貧乏暮しをしていたときなど、ひたすらに、ただもう、正月のお節をつくるための費用を捻出するため、あたまをいためていたも......
単語の意味
押し詰まる(おしつまる)
冴える・冱える(さえる)
冬至(とうじ)
師走(しわす)
押し詰まる・・・ある決まった期限が間近に迫ってくる。年末に近くなる。切迫する。
冴える・冱える・・・1.光や色、音などに濁りがなくて鮮明に感じられる。
2.寒さが厳しくて身が引き締まる感じである。
3.目や頭、体などの感覚がはっきりして調子がいい感じがする。
冬至・・・大陽が一年中でもっとも南に傾く時で、北半球では夜がもっとも長く、昼間がもっとも短い。二十四節気の一つで、太陽暦で12月22日ごろ。
師走・・・陰暦もしくは、大陽暦の12月の異名。諸説ある由来の中でよく言われるのが、年末である12月は、師匠の僧がお経をあげるために、忙しく東西を馳(は)せる月であるというもの。また、一年の最後で今年のうちにやるべき事は、全部やりとげる月と言う意味で「為果つ(しはつ)」が元になっている、とも。極月。臘月。
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