(夜の畑の)トマトは雨で濡れて暗闇の中で唯一赤い。クリスマスに樅(もみ)の木や窓辺に飾られる小さな電球のように、トマトは(車のハザードランプの明かりで)点滅してる。火花を散らしながら揺れる無数の赤い実は、まるで暗い深海に泳ぐ発光する牙を持つ魚のようだ。
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー 作品を確認(amazon)
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光の点滅・またたき
夜の雨
田園・田畑
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暗闇(くらやみ)
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光の点滅・またたきの表現・描写・類語(光と影のカテゴリ)の一覧 ランダム5
水たまりに赤い火影が斜めにチカチカと震えている
石坂洋次郎 / 丘は花ざかり amazon
明かりが不意に暗くなった。すぐに元に戻る。 蛍光灯の大きなほうが切れかかっているのだ。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
線香花火のようにそれらの文句が点 いたり消えたりした。
宮本百合子 / 伸子
灯火がリンの燃えるように怪しい光を放って明滅する
国木田独歩 / まぼろし「武蔵野」に収録 amazon
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夜の雨の表現・描写・類語(雨・霧のカテゴリ)の一覧 ランダム5
濡れている外の雨は優しい。風景の輪郭は雨粒を乗せて霞み、人間の声や車の音は落ち続ける銀の針に角を削られて届く。外は僕を吸い込むように暗い。ちょうどからだの力を抜いて横になった女のように湿っていて暗い。
闇のなかを斜(はす)かいに雨が糸をひく
中村 真一郎 / 夜半楽 amazon
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田園・田畑の表現・描写・類語(地上・陸地のカテゴリ)の一覧 ランダム5
麦畑では少しばかり伸びた麦が微風の方向へ漣(さざなみ)のように揺れていた。
藤沢桓夫 / 君に告げん
山から見下ろすとまるで豊かな海のようにも見えた一面の桑畑
村上 春樹 / 1973年のピンボール amazon
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「地上・陸地」カテゴリからランダム5
官庁街の素気なく白々しい建物の数々。
岡本かの子 / 河明り
人波は、水溜りのお玉じゃくしの群のように、後から後から押して来ては揺れうごいた。
徳永 直 / 太陽のない街―他二篇 (1953年) amazon
(富士山が)この東洋の多彩な列島の上に、自然の手によって釣りさげられた白玉と青玉の飾り天蓋のようにみえる。
林 房雄 / 青年 (1964年) amazon
「光と影」カテゴリからランダム5
有島武郎 / 或る女
日光が樫 の梢に染まりはじめる。
梶井基次郎 / 冬の蠅
)暗黒の水のような暗闇がぼくをすっぽり包んで逃さない。どこまでもどこまでもその暗闇は続いている。地球の芯まで。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
「雨・霧」カテゴリからランダム5
針のように細い、そして綿のように柔らかな雨
村上 春樹 / 1973年のピンボール amazon
夜霧がプラットフォームの灯りの周囲にこまかい虫のように動く
大仏 次郎 / 雪崩 (1953年) amazon
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