絶え入るように声を細めて岡は言葉を結ばぬうちに口をつぐんでしまった。そのあとには沈黙だけがふさわしいように口をつぐんでしまった。
有島武郎 / 或る女(後編) ページ位置:45% 作品を確認(青空文庫)
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黙る・沈黙
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前後の文章を含んだ引用
......しいと思います。……なんだか少しも役に立たない事をいってしまいまして……わたしやはり力がありませんから、何もいわなかったほうがよかったんですけれども……」 そう絶え入るように声を細めて岡は言葉を結ばぬうちに口をつぐんでしまった。そのあとには沈黙だけがふさわしいように口をつぐんでしまった。 実際そのあとには不思議なほどしめやかな沈黙が続いた。たき込めた香 のにおいがかすかに動くだけだった。 「あんなに謙遜 な岡君も(岡はあわててその賛辞らしい古藤の言葉......
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しばらく吉住は、なにもしゃべらずに麻理子が話し出すのを待っていた。部屋の中に沈黙が降りた。吉住にはそれが雪のように天井からゆっくりと舞い降りてきて、麻理子のベッドのシーツに降り積もるような錯覚を覚えた。
瀬名 秀明 / パラサイト・イヴ amazon
(客の)喧騒が僕の頭の中で大きくなったり小さくなったりした。まるで現実との接触が近づいたり離れたりしているみたいに。彼の端正な十本の指がテーブルの上にきちんと組み合わされていたのを覚えている。現実との接触が遠くはなれると、それは精巧な細工みたいに見えた。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
牛のように押し黙って答えない
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