レンズマメが底の方に沈んでいる

スープといっても、上から下まで実に千差万別のスープがあるものだ。数十時間、二日がかりで肉汁をとる本格的コンソメもスープなら、三十秒でとける固型スープもスープだ。

いいスープは、しみじみと味わっているうちに、出来のいいワインように、いろいろな味が次から次へと少しずつ染み出してくる。原材料の味、スパイスによって引き立てられる味、煮ている間に出てきた味、スープとなって完成してから出てきた味、とさまざまである。つまり、スープは決してソロではなく、シンフォニーなのだ。そのポリフォニックな味こそ、スープの魅力だといえよう。

スープを一口飲む。口の中ぜんぶに染み渡る旨味が、思わず湧きでてきたよだれときれいに混ざり合う。

グリンピースのポタージュは温かく滑らかで、浮かんだ生クリームの模様は芸術的でさえあった。

（チキン・チャプスイ）鶏とタマネギ、ジャガイモなどの野菜が入った実だくさんのスープといってよい。煮出汁はセロリと鶏とガーリックであって、これまた、めずらしく、いかにも栄養が躰中へみなぎってくるようだ。

たべものに味がないという。水さえまずいといってしょげている。それなのに「スープだけは、いつもおいしく感じる」というから、毎日毎日スープを作った。

コロッケを飯のおかずに食べるのがうまい。コロッケのコク味と飯の上品な旨味が口の中で融合し、それを胡椒のピリ辛さと醤油のしょっぱい旨さがはやし立てる。

豪華に見えておいしくて、冬のディナーのおもてなしにぴったり

皿の中で冷えかけて膜が張ったクリームシチューを見る。