正木博士の足音が急に止まると同時に、言葉もプッツリと絶えて、部屋の中が思いがけない静寂に鎖 されたために、その足音と声ばかりに耳を澄ましていた私は、正木博士が突然にどこかへ消え失せたように感じられた。
夢野久作 / ドグラ・マグラ ページ位置:91% 作品を確認(青空文庫)
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黙る・沈黙
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前後の文章を含んだ引用
......た。そこはちょうど東側の壁にかかっている斎藤博士の肖像と「大正十五年十月十九日」の日附を表わしているカレンダーの前である事が、突伏している私によくわかった。そこで正木博士の足音が急に止まると同時に、言葉もプッツリと絶えて、部屋の中が思いがけない静寂に鎖 されたために、その足音と声ばかりに耳を澄ましていた私は、正木博士が突然にどこかへ消え失せたように感じられた。 ……が……そう思ったままジッと耳を澄ましていたのは、ほんの二三秒の間であったろう。間もなくヒシヒシと解り初めたその静寂の意味の恐ろしかったこと……。 ……......
単語の意味
静寂(せいじゃく)
静寂・・・物音一つなく静まり返っていること。ひっそりとして寂しさのあること。また。そのさま。「寂」は訓読みで「しず(か)」とも読める。
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次に何を聞けばいいのかわからなくなって、口を閉ざした。
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
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