堅雪の表面がざらめのようにざらついている

霧のように灰色に立ち込めた雪の空

花びらのような牡丹雪が舞っている

雪と闇とのぼんやりした明暗

積もるとみせかけて、牡丹雪（ぼたんゆき）は案外なところで消えてゆく。

灰白色の空を背に、音もなく一定のテンポで続く雪の落下が、やがて蒔野の時間感覚を乗っ取っていった。

寒くなればなる程、塩のように乾いた、細かい雪がビュウ、ビュウ吹きつのってきた。それは硝子（ガラス）の細かいカケラのように甲板に這（は）いつくばって働いている雑夫や漁夫の顔や手に突きささった。

さっさっと降りしきる雪

粉末のように細かい雪は、踏むとキシキシ鳴る

幌舞地名は時も場所もわからぬほどの吹雪になった。 　古い駅舎は、音も光もない純白に埋ずもれた。