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二人で過ごした場面について、驚くほどよく憶えていた。前後関係やストーリーは全くの空白だったが、その一コマ一コマの色彩を鮮明に焼き付けているのだった。
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 ページ位置:20% 作品を確認(amazon)
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前後の文章を含んだ引用
......とうなずいたり咳払いをしたりしていた。 しかし話題がおばあさんの所で過ごした子供の頃の思い出に移ると、段々わたしの中から言葉がわき出てくるようになった。いとこは二人で過ごした場面について、驚くほどよく憶えていた。前後関係やストーリーは全くの空白だったが、その一コマ一コマの色彩を鮮明に焼き付けているのだった。「縁側でおばあさんと一緒にさやえんどうのすじを取っていたら、よく川がにが庭に迷い込んできましたね」 いとこは田舎の夏の午後を思い出していた。「そうだったわ」 彼......
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カレンダーの数字のように誰の記憶にもはっきりしている
徳永 直 / 太陽のない街 amazon
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それを目の当たりにしたときの新鮮な驚きは、拭いがたく胸に焼き付いている。
池井戸潤「下町ロケット (小学館文庫)」に収録 amazon
私の一生の 中 でも記録的体験なのに
山田太一「飛ぶ夢をしばらく見ない」に収録 amazon
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隆一はこのときの荒井幸夫の言葉つきをはっきり彼の耳の内で再現することができた。
野間宏 / 崩解感覚「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
(ぼろぼろになるまで使い込んだ料理の本は)小さい頃愛していた絵本のように、グラビアの色彩ごとページが頭に浮かんでくる。
吉本 ばなな / 満月 キッチン2「キッチン (角川文庫)」に収録 amazon
瞼の裏を、幼い日の姿が次から次へと行列をつくって通って行く
黒井 千次 / 群棲 amazon
幼少年期の記憶が軀(からだ)の中を風のように通り抜ける
吉行 淳之介 / 砂の上の植物群 amazon
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