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二人で過ごした場面について、驚くほどよく憶えていた。前後関係やストーリーは全くの空白だったが、その一コマ一コマの色彩を鮮明に焼き付けているのだった。
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 ページ位置:20% 作品を確認(amazon)
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......とうなずいたり咳払いをしたりしていた。 しかし話題がおばあさんの所で過ごした子供の頃の思い出に移ると、段々わたしの中から言葉がわき出てくるようになった。いとこは二人で過ごした場面について、驚くほどよく憶えていた。前後関係やストーリーは全くの空白だったが、その一コマ一コマの色彩を鮮明に焼き付けているのだった。「縁側でおばあさんと一緒にさやえんどうのすじを取っていたら、よく川がにが庭に迷い込んできましたね」 いとこは田舎の夏の午後を思い出していた。「そうだったわ」 彼......
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記憶の片隅にこびりついていた。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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