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耳の底がかーんとするほど空恐ろしい寂莫せきばく
有島武郎 / 或る女(前編) ページ位置:53% 作品を確認(青空文庫)
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静けさ・静寂
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前後の文章を含んだ引用
......顔のいちばん奥に、赤い着物を裾長すそながに着て、まばゆいほどに輝き渡った男の姿が見え出した。葉子の心の周囲にそれまで響いていた音楽は、その瞬間ぱったり静まってしまって、耳の底がかーんとするほど空恐ろしい寂莫せきばくの中に、船のへさきのほうで氷をたたきるような寒い時鐘ときがねの音が聞こえた。「カンカン、カンカン、カーン」……。葉子は何時なんじの鐘だと考えてみる事もしないで、そこに現われた男......
単語の意味
空恐ろしい(そらおそろしい)
空恐ろしい・・・将来を考えると漠然と不安で恐ろしい。
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