袖口から表れたその腕の太さ

幹のように強固な二の腕

柱のように太くかつ柔軟な手

腕へ力瘤を入れて、ちょっとつかんでみろと言うから、指の先でもんでみたら、なんのことはない湯屋にある軽石のようなものだ。

太い腕が持つカップは、ままごとの玩具に見える

曲げた腕を伸ばしたり、縮ましたりすると、力瘤がぐるりぐるりと皮のなかで回転する。すこぶる愉快だ。《…略…》かんじんよりを二本より合わせて、この力瘤の出るところへ巻きつけて、うんと腕を曲げると、ぷつりと切れるそうだ。

腕は、親指と人差し指とにすっぽり入るほど痩せている

茶色くしなびた女の細腕

針金のように細い腕

腕（うで）を額に翳（かざ）して、空の雲気を見廻（みまわ）した。軽く矩形（くけい）に擡（もた）げた右の上側はココア色に日焦（ひや）けしている。腕の裏側から脇（わき）の下へかけては、さかなの背と腹との関係のように、急に白く柔（やわらか）くなって、何代も都会の土に住み一性分の水を呑（の）んで系図を保った人間だけが持つ冴（さ）えて緻密（ちみつ）な凄（すご）みと執拗（しつよう）な鞣性（じゅうせい）を含（ふく）んでいる。