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理由も経緯も思い出せないし、歩きながら見た光景の断片と、歩きながら考えていたことのその内容も全部忘れてしまったが、輪郭というか抜け殻のようなものは残っている。
滝口 悠生 / 死んでいない者 ページ位置:65% 作品を確認(amazon)
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忘れる・思い出せない・曖昧な記憶
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前後の文章を含んだ引用
......、ふたり、あんなに遠くまで行くなんて。そんな旅行はあの時きりだったと思う。 だからふたりで海までの道を歩いた理由も経緯も思い出せない。あれは敦賀の駅からの道だ。理由も経緯も思い出せないし、歩きながら見た光景の断片と、歩きながら考えていたことのその内容も全部忘れてしまったが、輪郭というか抜け殻のようなものは残っている。それまでなくなってしまったらあの旅の記憶ももっと曖昧な、本当に行ったのかどうかもわからないものになってしまうのだろうし、もうそうなってしまった旅や出来事がたくさ......
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光景(こうけい)
光景・・・1.目に前に広がる景色。そこに見える景色や物事のありさま。景色。様子。
2.日の光。
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