テーブルの向い側にはもう誰も座ってはいなかった。誰も座ってはいない椅子をじっと眺めていると、自分が小さな子供で、キリコの絵に出てきそうな不思議な見知らぬ街に一人で残されたような気がした。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 ページ位置:5% 作品を確認(amazon)
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孤独・一人ぼっち
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......クリームも、何もかもがなくなりかけていた。 シャワーから出て髪をとかし、ローションをつけ、耳のそうじをした。そして台所に行って残りのコーヒーをあたためなおした。テーブルの向い側にはもう誰も座ってはいなかった。誰も座ってはいない椅子をじっと眺めていると、自分が小さな子供で、キリコの絵に出てきそうな不思議な見知らぬ街に一人で残されたような気がした。しかしもちろん僕はもう小さな子供ではない。僕は何も考えずにコーヒーをすすり、長い時間をかけてそれを飲んでしまうと、しばらくぼんやりしてから煙草に火をつけた。 ま......
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己れの肉感が暮色の中にとろけ果ててでも行くような、頼みがたい孤独
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