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西の方へ瞳 を落すと鈍 い焔 が燻 って来るように、都会の中央から市街の瓦 屋根の氾濫 が眼を襲 って来る。それは砂町一丁目と上大島町の瓦斯 タンクを堡塁 のように清砂通りに沿う一線と八幡 通りに沿う一線に主力を集め、おのおの三方へ不規則に蔓延 している。近くの街の屋根瓦の重畳 は、躍 って押 し寄せるように見えて、一々は動かない。そして、うるさいほど肩 の数を聳 かしている高層建築と大工場。灼熱 した塵埃 の空に幾百 筋も赫 く爛 れ込んでいる煙突 の煙 。
岡本かの子 / 渾沌未分 ページ位置:4% 作品を確認(青空文庫)
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町並み・集落
再開発エリア(街が変わる)
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前後の文章を含んだ引用
......葛西川橋の下から一本の大幅 の動きとなって、河口を海へ融 かしている。 「何という判 らない陽気だろう」 小初は呟 いた。 五日後に挙行される遠泳会の晴雨が気遣 われた。 西の方へ瞳 を落すと鈍 い焔 が燻 って来るように、都会の中央から市街の瓦 屋根の氾濫 が眼を襲 って来る。それは砂町一丁目と上大島町の瓦斯 タンクを堡塁 のように清砂通りに沿う一線と八幡 通りに沿う一線に主力を集め、おのおの三方へ不規則に蔓延 している。近くの街の屋根瓦の重畳 は、躍 って押 し寄せるように見えて、一々は動かない。そして、うるさいほど肩 の数を聳 かしている高層建築と大工場。灼熱 した塵埃 の空に幾百 筋も赫 く爛 れ込んでいる煙突 の煙 。 小初は腰の左手を上へ挙げて、額に翳している右の腕に添 え、眩 しくないよう眼庇 しを深くして、今更 のように文化の燎原 に立ち昇 る晩夏の陽炎 を見入って、深い溜息 をした。......
単語の意味
燻る・燻ぶる・燻ぼる(くすぶる・くすぼる)
重畳(ちょうじょう)
大工(だいく)
燻る・燻ぶる・燻ぼる・・・1.火が燃え上がるでもなく、消えるでもない、煙だけ出した状態である。
2.人の状態が好ましくない段階で、留まっている。
3.不平不満を持ったまま、引きこもって過ごす。
4.煙のすすで黒く汚れる。すすける。
2.人の状態が好ましくない段階で、留まっている。
3.不平不満を持ったまま、引きこもって過ごす。
4.煙のすすで黒く汚れる。すすける。
重畳・・・1.いくつも積み重なること。
2.いいことが重なって、非常に満足すること。
2.いいことが重なって、非常に満足すること。
大工・・・建物の建築や修理をする職人。また、その仕事。とくに木造の建物を扱う者をいう。。「工」は訓読みで「たくみ(=匠)」と読め「職人」「物を作る人」のこと。
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ぼんやりと青い空気の底に沈む淡くかすんだ街並み
よしもと ばなな / ムーンライト・シャドウ amazon
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「だって、なんかどんどん変わっていくんだもん。せっかく見つけた遊び場も、すぐ工事現場になっちゃうし。引っ越してくる前の街はそんなことなかったもん。なんか変。生き物みたい」
村田 沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」に収録 amazon
京都も、年毎に東京と大阪へ近づきつつある。国籍不明の風俗と建物が山や川を押し退け、古い都の名残りをとどめる唯一の町を侵蝕しはじめてきた。
池波 正太郎「食卓の情景 (新潮文庫)」に収録 amazon
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