まち子の眉を落とした小づくりな顔

メイクは下地のみのすっぴん

（いつもすっぴん）自分を美しく飾り立てることに興味がない

「まち子姐さん、眉毛を描けへんほうが、俺はきれいと思うなァ」 「そやけど、のっぺらぼうの、お化けみたいやて言わはる人もいてるし」

白粉や口紅をおとした女の疲れた青白い顔は、洗いさらした布のように、力のないざらざらとしたすさんだ肌のいろで

面長の、いかにもインテリといった青白い顔

沈着な雄雄しい人の相貌

（地味な友人がハデな格好をしていたので一瞬気付かない）彼女が、目に映るその画像と、私の知っている、捜していた彼女の絵とのずれがシンクロした瞬間、妙な快感があった。 　私の目がとらえた、初めてのはずの見知らぬ人物。そこに知っている目鼻がものすごい速度の判断でぱちっとはまったのだ。 　間違いさがしの答えが見つかった瞬間みたいだった。

生活に疲れ荒んだ顔

鋭い日本人離れした横顔

お白粉を施けたとこはまるで炭団（たどん）へ霜が降ッたようでございます

粉黛（ふんたい）の粧（よそお）い凝（こ）らした美女

濃い舞台化粧

西洋人みたいに整った目鼻立ちで、昔は絶対になかった顔である。

（若返り整形した顔とそうでない顔）老いに対する決して勝つ見込みのない戦い。徹底抗戦の構えを見せるどの顔も、戦況は思わしくなかったが、彼女たちにしてみれば、老いの先兵がこんなに平然と顔の方々に陣取り始めている自分の方こそ、神経を疑われているのだろう。